地方分権一括法が施行されてから2年半が過ぎました。これにより国から地方へ多くの「権限」が移譲されたとはいえ、その裏付けとも言うべき「財源」の移譲については遅々として進んでいないのが現状です。小泉首相が進める地方分権の中心である地方財政改革のなかで、国庫補助金の削減・廃止、地方交付税の見直し、地方への税源移譲の「三位一体」での改革論議がされています。しかし、財務省と総務省・地方自治体との対立もあり迷走をしているのが現状です。地方自治体がその名のとおり自立するためにも、まずは国と地方のお金の関係、この問題の解決が不可欠です。

地方交付税って何?

歴史 ‥‥古くは昭和11年に遡る。現行制度は同25年のシャウプ勧告に基づく「地方財政平衡交付金制度」を経て、同29年に地方交付税制度として開始。

目的 ‥‥地方自治体の自主性を第一に、財源の均衡化(財政調整機能)と地方行政の計画的な運営を保障(財源保障機能)し、地方自治の本旨の実現と地方自治体の独立性の強化。

地方交付税
1.普通交付税‥‥財源不足団体に対し交付。交付税総額の94%
2.特別交付税‥‥普通交付税で捕捉されない特別の財政需要に対し交付。交付税総額の6%

普通交付税のしくみ
1.地方自治体共有の固有財源‥‥国が地方に代わって徴収する地方税的要素
2.地方の一般財源‥‥地方の自主的な判断で使用できる財源
          (国庫補助金のように使途が限定されていない)
3.国と地方の税源配分を補完‥‥国と地方の支出割合 (2:3)と国税と地方税の比率 (3:2)のギャップの補完機能


普通交付税のしくみ
普通交付税額の算出法: (基準財政需要額−基準財政収入額)=財源不足額(交付基準額)
『基準財政需要額』 普通交付税額の算出法
ナショナルミニマム(国が補償する最低水準)確保の為に、地方自治体が負担しなければならない額。これを自ら負担できる自治体は地方交付税は配分されず、不交付団体と呼ばれる。現在、都道府県では東京都のみ不交付。全国3,218市町村中不交付団体は104団体(4%)、県下市町村では平塚市、藤沢市、箱根町など9市4町が不交付団体となっている。

地方交付税の功罪

【功】 国民はどこの土地に住んでも「ある一定水準」の生活、教育、安全などを享受できるようになり、国全体のバランスのとれた発展に寄与。

【罪】 交付額が18兆3,722億円(平成14年度)と国家予算の1/4近くにまでなっており、最低水準の保障という目的とズレが。
理由:国が地方交付税で保障すると言って地方自治体に公共施設等を作らせたこと。そして必要性等を精査せずに「もらえるものはもらっておけ」的な発想でそれに応えた地方自治体の無策。

【罪】 自治体が行政コストの削減を図ろうとすると、逆に交付額が減額されるしくみになっており、自治体の自立を阻害してきた一面も。


神奈川県の近年の交付額
年度 14 13 12 11 10 9 8 7
交付額 1,470 1,619 2,571 2,398 683 545 682 460
[注] 13・14年度では、従前地方交付税として措置されていたものが、別に臨時財政対策債として措置されている。
   (13年度最終:286億円、14年度当初:500億円)

人口一人当たりの地方交付税額 [平成12年度による。( )内は交付税額。]

税額多い 県名 1人当たり 総額 税額少ない 県名 1人当たり 総額
多い1位 島根県 30万円 2,284億円
少ない1位 東京都 0円 (不交付)
2位 鳥取県 28万円 1,725億円
2位 愛知県 2万3千円 1,622億円
3位 高知県 27万4千円 2,240億円
3位 神奈川県 3万1千円 2,571億円
4位 徳島県 23万3千円 1,933億円
4位 大阪府 3万7千円 3,149億円
5位 秋田県 22万7千円 2,721億円
5位 埼玉県 4万7千円 3,250億円

吉田大成の主張!

 国庫補助金の削減・廃止、地方交付税の見直し、地方への税源移譲。幾度となく議論をされてきた課題ですが、これまで解決をみることなく先送りされてきました。その裏には中央省庁による自らの関与・権限を維持しようという論理が見え隠れしています。
 地方分権一括法の目的は、地方の自立と独自性の発揮にあります。つまり、金太郎飴的な全国一律の行政サービスではなく、地域の実情にあった多様なサービスを提供することで、住民が豊かさを実感できる社会を目指すことと考えます。
 地方分権を進め、この国のカタチを本当に変えるためには、まずこの国と地方のお金の関係を改める必要があります。そして今回のテーマである「地方交付税」こそ、「三位一体」の議論のなかで、制度本来の趣旨に立ち返り、国と地方自治体が共に議論を進め、新しい考え方を整理しなければならない時期がきています。
 もちろん、ナショナルミニマムを確保するための財源調整も必要ですが、それにはまず地方自治体の中央への依存体質を是正し、自立や意欲を高める制度に改めなければなりません。現在の税源移譲が明示されぬまま、三位一体の視点が追いやられた形で議論されているような状況では、正に、単なる地方への負担転嫁に過ぎません。地方分権の本旨を遂げるためにも、税金を国で集め地方に配分するということではなく、必要な税源は地方自治体に委ねることを基本とすることが重要です。


  
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