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4.「ニート」について [質問] 質問の第4は、「ニート」についてです。 最近、「ニート」という言葉がマスコミを賑わしております。「ニート」とは、Not in Employment, Education or Trainingの頭文字(NEET)による造語であり、職業にも学業にも就かず、また職業訓練も受けていない、いわゆる若年無業者のことを言うもので、1999年にイギリス内閣府が出した報告書によって広く知れわたることとなった言葉です。 イギリス政府が高い若年失業率の改善を目指すさなか、16〜18歳の若者のうち約9%が求職活動をしていないことが明らかとなり、この「ニート」層が、将来的に犯罪への関与など社会的にリスクの高い集団になる可能性を秘めていることから、新たな取り組みの必要性がクローズアップされたという経過がありました。 わが国に目を移してみますと、これまで「ニート」というものの確たる定義がなされていない中ではありましたが、その数は、40万人とも、60万人とも言われてきました。その数もさることながら、それ以上に関心を呼んだのはその高い増加率でありました。 ニートに対する関心が高まりを見せるなかで、過日、厚生労働省が発表した「労働経済白書」において、無業者、いわゆるニートについての集計結果がはじめて明らかにされました。同白書では、「無業者」を「非労働力人口のうち、年齢15歳〜34歳、卒業者、未婚であって、家事・通学をしていない者」と定義したうえで集計をしたところ、昨年は約52万人にも上ったことが明らかになったのです。また、同様の手法による2002年分の集計結果との比較では、この1年間で約4万人も増えていたことが明らかになりました。 この背景には、長引く不況により求人が減少傾向にあるなか、企業と若者との間にミスマッチが生じていること、就職活動の厳しい競争、変化の激しい雇用環境や社会情勢に、学校や企業が付いていけず、そのなかで働く意欲や希望を失っていく若者が増えているということがあると言われております。 しかし、日本の「ニート」が抱えている問題は、就職機会に恵まれない低所得者層が多い英国の「ニート」と違い、他者との関係をうまく結ぶことができない、あるいは、自分が何をしたいのか分からないといった理由から、こうした状況に陥ってしまった、いわば「日本型ニート」と呼ぶべきタイプがいるということにもあるようであります。このまま放っておけば、わが国においても社会不安や所得格差が増すほか、少子化や社会保障への影響も危惧され、当然、本県にも様々影響を及ぼすであろうことは想像に難くないところであります。 近年の若年層におけるフリーターの増加や、若者の雇用問題が大きくクローズアップされるなかで、国では文部科学省、厚生労働省、経済産業省、内閣府により若者自立・挑戦戦略会議が設置され、昨年『若者自立・挑戦プラン』を策定、意識啓発や就業支援を行う「ジョブカフェ」や、企業実習と教育訓練を組み合わせて行う「デュアルシステム」などの施策が始まったところです。さらに、このプランを受けて、年内には各省庁が行動計画を取りまとめる段階となっており、厚生労働省の来年度予算の概算要求のなかでも、「若者人間力強化プロジェクトの推進」として、無業者という表現ながら、若者自立塾の新規創設や小中高校生を対象としたジュニアインターンシップの充実をはじめとするニート対策に資する事業が盛り込まれているところです。 就業に導くことで、現在の「ニート」層の解消を図ることはもちろんですが、その一方で、新たな「ニート」を生み出さない、これ以上増やさない取組も当然必要であります。 それには、キャリア教育、体験教育こそが効果があると言われています。東京大学助教授で労働経済学者の玄田有史氏は、兵庫、富山両県における中学2年生全生徒への就業体験教育を取り上げながら、多感な時期に地域の企業で実際に仕事を体験する『14歳の挑戦』を提唱し、働くことの大切さを早めに知らせる必要があるとしています。 本県では、この春に「かながわ若者就職支援センター」が開設され、これまで4,000人を超える若者たちに利用されており、若者支援の取組もまさに緒についたところでありますし、その他、これまで進めてきたキャリア教育や体験教育などの取組ともども、その効果を見定めていくなかで、今後の「ニート」への対処策も見えてこようかと考えるところです。 この問題は、社会全体の大きな枠のなかで、大人が本気になって次の世代を育てていく気概を持って臨まねばならない、非常に重い課題であると考えます。 ●そこで、知事にお伺いします。 わが国においても「ニート」が52万人にも及ぶなど、にわかに社会問題化しつつあります。これからの県政推進にあたっては、県民一人ひとりのマンパワーの醸成、活性化が不可欠であるなかで、これからの神奈川を担う次代の若者たちのことを考えると、このままでは本県にとっても大きな損失となりかねない状況であります。 そこで、雇用の面や青少年の育成の面などの観点から、「ニート」と呼ばれる若者たちの存在に対する、県としての認識について、知事のご所見をお伺いいたします。 また、これからは本県としても、まず現状・実態の把握を進めると同時に、これまでの若者の就職支援策、キャリア教育などといった様々な取組の上に立って、「ニート」対策を講じていく必要がありますが、人材育成、広くは次世代の育成にも繋がる課題であるという観点や、少子化・社会保障への影響をも考え合わせれば、『次世代育成支援地域行動計画』の策定作業にも深く関わりを持ってこようとも考えます。 ●「ニート」対策は、これといった一つの取組だけで解決できる課題ではなく、多様な問題が輻輳しています。だからこそ、各部局で進められている関連する事業を総合的に受け止め、部局間の連携をより強めた対策を進めていかなければならないと考えますが、併せて知事のご所見をお伺いいたします。 [答弁] 最後に、「ニート」と呼ばれる若者たちが存在することに対する認識と対策についてのお尋ねがありました。 「ニート」と呼ばれる、無職であるのに求職活動をせず、学校にも職業訓練にも通わず、家業や家事の手伝いもしていない若者は、全国と同様、本県でも増加しているのではないかと憂慮されるところであります。 このような事態には、社会の一員としての自覚や勤労意欲の不足、社会性の欠如といった若者側の問題と、新規採用の減少による若年層の厳しい雇用情勢や即戦力を求める企業のニーズとのミスマッチなど、雇用環境の問題が複雑に絡み合っていると思います。と同時に、学校や家庭において、どのように職業意識を育てていくのかといった問題もあると受け止めております。 今回発表されました「労働経済白書」において、「ニート」は若年の「無業者」と表現されており、若年層の失業問題の一環として、「フリーター」 とともに、「若年者自身の問題にとどまらず、産業活動の健全な発展、さらには、日本社会の維持、発展という観点からも憂慮すべき問題」との指摘がなされております。 また、本年6月に策定された、国の「少子化社会対策大綱」におきましても、「少子化の流れを変えるための3つの視点」の1番目に「若者の自律が難しくなっている状況を変えていく」ことが掲げられ、その中で「ニート」に相当する「学校を卒業あるいは中退した後、就職も進学もせず、その意欲もない状況陥る多数の若者の存在が懸念される」との問題認識が示されております。 このような中で、県といたしましても、若者達が本来、持ち合わせている多様な可能性とエネルギーを神奈川の未来のために発揮できるようにするとともに、若者自身が自立し、将来に向けた明るい展望を描けるよう、このような「ニート」と呼ばれる若者への対策が必要になってくると受け止めております。 そこで、今年度中に策定予定の次世代育成支援対策推進法に基づく地域行動計画に位置付け、「ニート」の現状や実態についての各種調査研究や発生要因についての分析などを踏まえながら、若者の自立・就職のための支援策の拡充・強化や、中・高校生段階からの就業体験など職業意識醸成のための教育の充実等により、総合的な対策を進めてまいりたいと考えております。
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